特急が運ぶ愛の秘密 アラサー女子が婚活列車に潜入 [ニュース速報ブログ]
■仕事女子、気づけば三十路…増える独身
仕事に習い事、おしゃれ、グルメ、ダイエット…。平日、休日ともに充実して、忙しくしていたら、あっという間に20代が過ぎて、三十路(みそじ)に突入してしまった。そういえば、携帯電話の相手も、飲みに行くのも、仕事関係か女友達ばかり…。もう何年間、彼氏いなかったっけ。思い出せなかったりする。
家族から「そろそろ…」と言われると、決まって「出会いがないから」と口答えしてしまう。取材先はオジサンばかりで、社内も見渡すかぎり既婚者。「結婚したくたって相手がいないことには」。最近の女子会は、そんなぼやきばかり。
世間もどうやら同じ思いらしい。昨年11月、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「第14回出生動向基本調査・独身者調査」によると、交際相手のいない人が男女ともに増加傾向で、男性で6割、女性で5割がフリーだとか。一方で、結婚したいと思っている人は約9割と多い。
そんな背景もあるからか、各地で結婚活動(婚活)イベントが大盛況らしい。定員を上回る申し込みがあり、予約待ちも多いとか。
でも、婚活パーティー、婚活バー、婚活ハイキング…。「婚活」と冠を付けるものは多いものの、どれがいいのか分からない。
そんな中、近鉄が主催する「婚活トレイン」に乗ってみないか、と先輩に誘われた。電車に乗って、沿線の観光地にお出かけし、食事や、工芸品の手作り体験などを通じて、相手を探すらしい。カップル成立率が高く、人気の婚活イベントだとか。
婚活イベントってどんなものなんだろう。人気の秘密を取材しながら、自分の婚活にも役立てたいと、さっそく同行取材に向かうことにした。(栗井裕美子)
■人見知り…男性の取材は苦手だけど
行きは、大阪上本町駅午前8時40分集合、9時10分発の賢島行き特急電車に乗り、午前11時に鳥羽駅に到着。帰りは、午後5時16分に鳥羽駅を出発し、大阪上本町駅に午後7時15分に着く−という旅程。
実は、自宅から上本町に向かう道中、憂鬱で仕方なかった。仕事のときには「サバサバと明るい性格だね」と言われ、確かに、誰とでもおしゃべりできるが、プライベートでは一転、引っ込み思案で人見知り。仕事仲間からは笑われそうだが、プライベートでは、男性を目の前にすると緊張してしまう。
取材とはいえ、知らない異性に囲まれる。しかも、朝から晩まで続く。我慢できるだろうか。翌日、熱を出したりしないだろうか。ひたすら心配をしていた。
駅のコンコースで、きょろきょろしていたら、受付らしきスペースを発見。あたりを見回すと、同じ封筒を手にした男女がうろうろしていた。
この中の誰と誰がくっつくのかな。私だったら、恥ずかしくて話しかけられない。でも、イケメンがいたら、頑張っちゃうかも…。さりげなく周りを観察しつつ、電車の出発時刻を待った。
出発10分前に車両に乗り込んだ。このイベント用に1両を貸し切っているらしい。友達と誘い合って参加している人たちは、にぎやかにおしゃべりしていたが、大半は1人で参加しているよう。少し緊張した面持ちで、窓の外を見たり、携帯電話を触ったりして、静かに過ごしていた。
参加人数は、男女ともに26人。貸し切りにする特急列車の座席数の関係らしい。参加資格は、男女ともに30〜45歳だが、男性は40代が多く、女性は30代後半が多い印象だった。大阪、奈良、三重など、近鉄沿線からが多いらしい。
定刻が来て電車は出発した。「はい、みなさんお待たせしました!」。底抜けに明るい司会に導かれて、最初のイベント、自己紹介タイムが始まった。参加者は、一斉に封筒に入っていた冊子を広げ、ペンを取り出した。
冊子には、参加者のプロフィルが載っていた。「電車に乗る」「インコの世話をする」など休日の過ごし方や、新婚旅行の行き先についても「北海道」「ヨーロッパ」「相手に合わせる」など、詳しく書かれていた。
■ニックネームで自己紹介
名前は、本名ではなくニックネームというのが、なんとも安心できるところ。個人情報を出来るだけださないのは、客同士のトラブルを防ぐためという。
自己紹介タイムでは男女一人ずつ前に出て、マイクでPR。顔を真っ赤にしながら、木訥(ぼくとつ)に話す男性が多かった。女性は、控えめな印象の人が多かった。真面目に相手を探していることが伝わってきた。
とかく緊張しがちな自己紹介タイムを、名司会で盛り上げていたのは、上本町駅営業所の松田艶樹さん(38)。
この自己紹介タイムのために、事前アンケートで収集した参加者のデータをすべて頭にたたきこんでいる、という。準備の甲斐あって、なめらかにトークを展開していく。
「女性にこれだけはやってほしくないことありますか?」との質問に、男性参加者が答えに窮していると、「特にないんですね。包容力がありますね」とすかさず代わりに答える。すると質問された男性は、うんうんとうなずく。
「料理といえば卵焼きくらいしか…」と控えめな女性には、「卵焼きが作れたら十分です。男心をぎゅっとつかみますね」。女性は照れ笑いをしていた。
ユーモアを交えながら、機転の利いた切り返し。笑っているうちに、車内の雰囲気も緊張も和らいできた。
【アラサーのつぶやき】
半分は好奇心、半分は不安な気持ちで参加したツアー。きっと参加者も同じような気持ちだったのでは。そんな中、テンションをあげてくれたのは松田さんの名司会。落語のような語り口。プロの司会かと思っていたら、近鉄の社員で、普段は庶務の仕事をしていると聞いて、驚いてしまった。
■栗井裕美子(くりい・ゆみこ)
大阪社会部記者。平成18年入社。奈良支局を経て、22年7月に着任した。大阪府富田林市に拠点を置いて南河内地域を担当している。
今年1月29日に開催された五輪代表選考会「大阪国際女子マラソン」の事務局に出向し、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんに取材。Qちゃんスマイルに感化され、マラソンを始めた。すぐに飽きるかと思ったが、今のところ続いている。